個人事業と法人の違い:税金・社会保険・手続きをどう比べるかお店を「個人」でやるか「会社」にするか、どう決める?
事業を始めるとき、個人事業のまま続けるか、法人(株式会社・合同会社など)にするかは、手元に残るお金と手続きの負担を左右します。個人事業の所得には所得税(5〜45%の累進)と住民税・個人事業税がかかり、法人の利益には法人税等がかかります。法人にすると社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必要になり、役員報酬には給与所得控除が使えます。有利不利は利益の水準と家族構成で変わるため、数字で比べることが出発点になります。
要点
- 個人事業の所得には、所得税が5%〜45%の7段階の超過累進税率でかかる(国税庁 No.2260)
- 法人の所得には、中小法人の場合、年800万円以下の部分に15%、超える部分に23.2%の法人税がかかる(国税庁 No.5759。特例の適用に条件あり)
- 法人にすると、役員にも健康保険・厚生年金が適用され、会社と本人が保険料を半分ずつ負担する(個人事業は国民健康保険・国民年金が一般的)
- 一般に、利益が小さいうちは個人事業、大きくなると法人のほうが手元に残りやすい傾向があるが、家族・所在地・社会保険の事情で分かれ目は変わる
- 法人には、法人税のほかに地方法人税・法人住民税・法人事業税がかかり、赤字でも法人住民税の均等割は納める
実務での対応
- 年間の利益の見込みを、保守的な額と楽観的な額の2通りで置く
- 無料ツール「個人事業と法人、どちらが有利か」で、手元に残るお金と、有利が入れ替わる利益の目安を確認する
- 数字に出ない違い(信用・許認可・事業承継・手続きと費用)も比べ、法人にするなら設立時期と社会保険・消費税の扱いを税理士・社会保険労務士に確認する
お店や仕事を始めるとき、自分ひとりの名前でやる「個人事業」と、会社をつくる「法人」のどちらにするかを選べます。かかる税金や保険のしくみが違うので、手元に残るお金も、手続きのたいへんさも変わります。もうけが小さいうちは個人のままが楽で、もうけが大きくなると会社のほうがお得になることが多いと言われますが、家族の人数や住んでいる場所でも変わります。まずは数字で比べてみることが大切です。
- ○当てはまる:もうけ(利益)が年に数百万円を超えてきた
- ○当てはまる:取引先から会社にしてほしいと言われた
- ○当てはまる:人を雇って事業を大きくしたい
- ×当てはまらない:もうけがまだ小さく、手続きの負担を減らしたい(個人のままでもよい)
ポイント
- 個人事業は、もうけに「所得税」がかかり、もうけが多いほど率が上がる(5%〜45%)
- 会社は、もうけに「法人税」などがかかる。小さな会社は年800万円までの部分が15%と軽い
- 会社にすると、自分も会社の健康保険と年金に入る。保険料は会社と自分で半分ずつ払う
ことばの意味
- 法人
- 会社のように、人とは別に法律上の「人」として認められた組織
- 役員報酬
- 会社の社長などが、会社から受け取る給料
- 社会保険
- 病気やけが、老後に備えて、みんなで保険料を出し合うしくみ
- 国税庁: 国税庁 No.2260 所得税の税率
- 国税庁: 国税庁 No.5759 法人税の税率
この記事は官公庁の公表資料を要約・解説したもので、個別の事案への助言ではありません。制度は改正されることがあるため、実際の手続きや判断は必ず公表元の最新の資料や、税理士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。