労務費の価格転嫁は3割どまり。指針は令和7年12月26日付で改正給料が上がった分を、商品の値段にのせるのはむずかしい
公正取引委員会と内閣官房が策定した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」は、令和7年12月26日付で改正された。特別調査では、労務費の転嫁率が原材料やエネルギーコストに比べて低いことが示されている。
要点
- 指針は内閣官房と公正取引委員会の連名で策定。背景には労務費の価格転嫁が進んでいないことがある。
- 特別調査の転嫁率(中央値)は、原材料価格80.0%、エネルギーコスト50.0%に対し、労務費は30.0%。労務費の平均値は45.1%。
- 労務費率が高い業種として、ビルメンテナンス業・警備業、情報サービス業、技術サービス業、映像・音声・文字情報制作業、不動産取引業、道路貨物運送業が挙げられている。
- 受注者が転嫁を難しいと感じる理由は、発注者の「生産性向上で吸収すべき」という意識、詳細な説明や資料の提出を求められること、今後の取引関係への悪影響の懸念。
実務での対応
- 賃上げ等による労務費の上昇分を、見積書の根拠資料として整理しておく。
- 発注側は、交渉の申出があれば協議に応じる社内手順を整える。
働く人のお給料を上げると、お店は商品の値段を上げたくなります。でも、買う側の会社に「うちは困る」と言われやすく、値上げがむずかしいのが今の課題です。国は話し合いのお手本を出しました。
- 増えた人件費
- 100万円
- 値段にのせられた分
- 30万円
- お店が負担する分
- 70万円
ポイント
- 材料の値上がりは8割くらい値段にのせられるのに、人のお給料の分は3割くらいです。
- 「工夫して自分たちでなんとかして」と言われてしまうことがあります。
- 取引をやめられたら困る、と思って言い出せないこともあります。
ことばの意味
- 価格転嫁
- かかった費用の増えた分を、商品の値段に反映すること。
- 労務費
- 働く人に払うお給料などの費用。
- 公正取引委員会: 公正取引委員会 労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針
この記事は官公庁の公表資料を要約・解説したもので、個別の事案への助言ではありません。制度は改正されることがあるため、実際の手続きや判断は必ず公表元の最新の資料や、税理士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。