特集 CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは: 仕組み・使われ方・取引の流れと確認先会社がお金を返せなくなる心配に備える「保険のような約束」CDS
CDSは、企業などの債務不履行(倒産など)に備える「保護」を売り買いする金融派生商品です。買い手が保証料に当たる固定クーポンを定期的に払い、参照組織にクレジットイベントが起きたときに売り手が決済します。取引は主に金融機関同士の店頭(相対)取引で、日本取引所グループの清算機関JSCCが2011年7月から清算を行っています。本特集は、取引所グループ・日銀・金融庁・BISの公表資料にもとづき、仕組み、使い方、売買の流れ、価格や残高の確認先をまとめました。
- 保護の対象(社債の額面)
- 10億円
- 買い手が払う固定クーポン
- 年2%=年2,000万円(5年)
- 発行会社が破綻したときの社債の時価
- 3億円
- 売り手が買い手に払う額(額面−時価)
- 7億円
要点
- 仕組み: 買い手は契約期間中、固定クーポン(通常は四半期ごと)を払う。参照組織に破産・債務不履行・債務条件の変更などのクレジットイベントが認められると、売り手が約定の決済を行う。期間は1〜10年程度で5年が一般的。取引の外形は保証や信用保険に似るが、買い手が参照組織の債権を持っている必要はない
- 決済の例(JSCC解説): 社債10億円を持つAが年2%・5年で保護を買うと、毎年2,000万円を払う。社債の発行会社が破綻して社債の時価が3億円になった場合、現金決済・オークション決済では売り手が額面から時価を引いた7億円をAに払う。時価はISDAが定めるオークションで決める方式が2009年以降の標準
- 使い方: 貸出や社債の信用リスクを、手放さずに外す(ヘッジ)/社債のない企業の信用リスクを引き受ける/ローンや社債を持たずに信用リスクを売る側に立つ/スプレッド(CDSの価格)から信用力の目安を見る。日本の社債市場にはレポ市場がなく、信用リスクのショートをつくるほぼ唯一の方法として使われる、と解説されている
- 売買の流れ: 主に金融機関同士の相対取引で、ISDAのマスター契約・用語定義集に沿って結ぶ。流動性が最も高いのは日本企業40銘柄の平均を取引するiTraxx Japan(3月20日・9月20日に新シリーズ)。JPXの取引例では、想定元本1億円・固定クーポン100bpsのときスプレッド110bps(価格99.52%)で買うと、アップフロント48万円と経過利子194,444円の差額285,556円を買い手が払い、四半期ごとに250,000円のクーポンを払う。130bpsで反対売買して終えると、差額1,136,667円を受け取る
- 清算と規模: JSCCが売り手と買い手の間に入って債権債務を引き受ける(債務負担)と、取引相手の信用リスクを個別に負わずに済む。債務負担は週1回、火〜木の3日間で手続きし16時に成立。対象は円建て・想定元本1,000億円以下などの条件を満たす取引。日銀の定例市場報告では、2026年6月末のクレジット・デリバティブ(OTC)の想定元本は1.0兆米ドル(前期比+68.9%)
実務での対応
- 価格の動きを見るには、JPXの「Markit iTraxx Japan 本日のスプレッド」(インデックス)を確認する。個別銘柄の価格は情報ベンダーが公表し、インデックスは日本経済新聞の市場欄にも載る(JSCC Q&A)
- 規模や取引の実態は、日銀の「デリバティブ取引に関する定例市場報告」(日本の主要ディーラー・年2回)、金融庁の店頭デリバティブ取引情報、JSCCの清算統計、世界の残高はBISの統計で確認する
- CDSや、CDSを組み込んだ商品の説明を受けたら、参照組織・期間・決済方法(現物・現金・オークション)・取引相手の信用リスクを確認し、必要なら金融商品取引業者や専門家に相談する
CDSは、ある会社がお金を返せなくなったときに備えて、「保険のような約束」を売り買いするしくみです。買う人は決まったお金を定期的に払い、その会社が倒産などになったら、売った人からお金を受け取ります。主に銀行や証券会社のような金融機関どうしが取引していて、ふつうのお店で買える商品ではありません。
- ①約束を結ぶ買う人と売る人が、金融機関どうしなどで約束する
- ②保険料を払う買う人が、決まったお金を定期的に払う
- ③何も起きない期間が終わったら、そこで終わる
- ④倒産などが起きた決められたルールで、売る人が買う人に払う
ポイント
- 買う人は、保険料のようなお金(固定クーポン)を3か月ごとなどに払う
- 倒産など「決められたできごと」が起きたら、売った人が払う。何も起きなければ払わずに終わる
- CDSの値段(スプレッド)は、その会社がどれくらい心配されているかの目安になる
ことばの意味
- 参照組織
- CDSで「この会社は返せるかな」と見られる相手の会社。取引には加わらない
- スプレッド
- CDSの値段のこと。大きいほど、その会社が心配されている目安
- クレジットイベント
- 倒産や、返す約束が守れないなど、お金を払うきっかけになるできごと
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: 日本取引所グループ 信用リスクの取引について(CDS取引・クレジットインデックス取引)
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: 日本取引所グループ Markit iTraxx Japan 本日のスプレッド
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: 日本証券クリアリング機構 CDS 債務負担
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: 日本証券クリアリング機構 CDS 清算対象取引
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: 日本証券クリアリング機構 CDS Q&A(2025年2月版)
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: 日本銀行 デリバティブ取引に関する定例市場報告(2026年6月末)
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: 金融庁 店頭デリバティブ取引情報の公表について(令和6年3月末)
- 日本取引所グループ(JPX)・日本証券クリアリング機構(JSCC)・日本銀行・金融庁・BIS: BIS OTC derivatives statistics at end-June 2025
経済ニュースは公表された統計・見通しの紹介であり、投資の勧誘や売買の助言ではありません。数値は公表時点のもので、改定されることがあります。
この記事は官公庁の公表資料を要約・解説したもので、個別の事案への助言ではありません。制度は改正されることがあるため、実際の手続きや判断は必ず公表元の最新の資料や、税理士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。